天声人語を読んで
2018年06月10日
最近ほとんど読まなかった天声人語をたまたま見て驚いた。日本橋の上の高速道路を取り除く話だがその文化人のような書き方に衝撃を受けたのである。
日本橋など一度も訪れることのない人が日本人の大多数であるのにその人たちの税金を使う事業に誰が賛成するのだろう。田中角栄が雪深い新潟の奥地に立派な道路を造るのとはわけが違う。介護や保育に今先ずは税金をつぎ込むのは常識的に見ても当然である。老舗の旦那衆のお金でやる分には誰も反対はしない。商売の歴史が古いと周りからちやほやされて何か勘違いされているのではないか。人口が減少し半分になるころには介護も保育も今と違っているだろう。解決しているかもしれない。ただその頃は税金の使い方が厳しく問われていることだろうが。日本橋は今そこにあり繁栄を表象している、それだけでいい。
解体される前の東京駅前の旧丸ビルや日比谷の三信ビルなどを仕事で訪ねることがあったが外観といい内装といいどうして残すことができなかったのかと思うが民間の事業であるので仕方がない。特に三信ビルなどアーチ形の天井やあちらこちらに施されている装飾に初めて入った時の目を見張る思いは今も消えない。こういうのを壊して新しいものを造っていくのが日本の習慣なのでありそれは不動産会社、建設会社の経営にもかかわることだから変わることはないだろう。
文化人を気取らないで多額の税金の使われ方を思考する天声人語であってほしかった。
米田正之