敬礼をする男
2021年04月17日
トルーマン大統領は大戦後ソビエトに対し優位に立つため原爆を使った。のちに大統領となる軍人アイゼンハワーも反対したその悪魔の選択のため何万という民間人が生きたまま焼き殺された。この責任は追及され戦争犯罪はいつか裁かれる日が来るだろう。チェ・ゲバラは広島で「なぜアメリカに怒らないのか」と言った。ゲバラに教える人はいなかったのか。怒りは回って日本の戦争を指導した者たちに向かうからそうしなかったのだ、と。
個人的な信頼関係が大事とかいつまでも言っているがその中曽根さんは今ではなぜか偉大な政治家になっているが三角大福の時代風見鶏と揶揄され一段低い存在だった。アメリカの怒りを買った田中角栄の方がその後の日米関係は変わることもなく評価も人気も高いのはどうしてなのでしょう。
中国と覇権を争うアメリカに付き合って何兆円も貢いでいるがまず先にミサイルが飛んでくるのは地理的に日本なのだからアメリカにとって日本はいい防波堤ぐらいにしか思っていない。インドから中国にかけての地域が世界の中心になる。それはかつて太陽の沈まない国があったような時の流れだから。その中でうまくやっていくしかない。言うことは言って仲良くするのが外交の努力だろう。その意味で日本にワクチンを早く作る能力が無いのならここは中国に助けてもらえばいいのではないか。ワクチンさえあれば死ななくていい人がいるなら提供できない責任は重い。外交上の戦略としても意義あることに思える。
昭和45年、金沢の精神病院に目の前で大声を出されると敬礼をする中年男性がいた。戦後25年、闇の中をさまよう彼を救うのは神だけなのか。戦争の責任がある立場でいながら戦後とぼけて生き延びた者たちは彼が死んでいくのを待つだけである。
病院の隣にある曹洞宗の古刹、東香山大乗寺の木々が森のように見える。
お釈迦様が説かれた因果の道理、生老病死。自分が関与できない周囲の様々な縁により思い通りにならないことを何とかしたいと欲求し苦しみが生まれる。
戦争により心を病んだ貴方はその後どう生きられましたか。人の世の避けられない苦しみの中で生きる道を照らす明かりが見えましたか。
生まれることを選べない命であればそれはすべて平等であろう。
七堂伽藍の建物は700有余年、平和な時も戦乱の時も人々を見てきた。
境内の青葉は初夏の光の中できらきらと輝いているばかりであった。
米田正之