終わらない悲しみ
2016年02月21日
カカオ農園で働く子供はチョコレートを食べたことがない。奴隷のような子もいれば学校に行けないので親と一緒に働いている子もいる。児童労働者は世界で1億6千万人、その内8千万人が危険な有害労働についている。どこの国においても経済の発展は下から上だろう。それは自分のように小学3年中退、賃貸暮らしで年収100万以下の男でも、その辺を歩いているおばちゃんでも分かる。得られる仕事があるからといってすでに否定されたトリクルダウンを持ち出すのはおかしい。無理を承知で言うのは傲慢と権力を失わない安心があるからだろう。
今の政権が北朝鮮のミサイル(ロケット)問題をことさら大きくしているがアメリカが自国に飛んでくるのをぼんやり見ている訳がない。当然ながら内部の情報を掴んでいる筈で攻撃しないということはまだ危険ではないということだ。アメリカも日本も北朝鮮が本物でなく見せかけの脅威でいてくれていた方がいいのだから。
アメリカでさえやらない年金運用を株でやって損をだし受け取る年金が少なくなっても政治家や官僚は誰一人責任を取らされることはない。国民より自分の主張、保身が大事なのはなにも今に始まったことではなく満州の悲劇にもそれは現われていた。
ソ連軍が攻め込んだとき関東軍は日本人を残して逃げた。自国の民を守らない軍隊とはなんなのか。機銃掃射を受け戦車にひき殺され、暴行、略奪、虐殺のかぎりをつくされ集団自決や生き別れとなっていく。五木寛之さんや、宝田明さん、なかにし礼さんなどそのあたりを聞くことが出来る。その中でなんともいやなのは軍人関係者をはじめ官僚の家族、満鉄関係者などは民間人に避難連絡を伝えずに一番先に逃げている。軍上層部や家族は飛行機で帰っている。この国では決して国民を守ろうということはしない。これが最も悪いことであったと思われるがソ連軍がくるかもしれないという状況が出ていたのに分かっていながら伝えず在留民・開拓団を移動させなかった。満州国に深く関わった岸信介などはなにくわぬ顔でその後表に出てきている。恥ずかしいことではないか。
子供のころ住んでいた近くに自分より年上の兄弟がいる家があった。お兄さんには知的障害がある。その母親がうちに来て母に話すことには満州で命からがら乳飲み子であったお兄さんを連れて逃げているとき食べるものがなく母乳が出なくなったのだという。泣きながら話している。母ももらい泣きだ。ただもっと悲しいことにその子が中学生になったころ不良グループにお金を脅し取られていたらしい。それを知った母親は違う涙を流しただろう。
米田正之
